実は滑り込みセーフでした…(;´Д`A “`
「次は、忙し過ぎて今シーズン雪山登山に一度も行けていないあの方です」、とのご紹介にあずかりましたが、実は3月に入って恵那山にこっそりチャレンジしていた、いんちょーです。
その恵那山(標高2191m)…
『日本100名山のうち最も地味な山』などと評され、登山途中の展望スポットが少なかったり、山頂の展望がほぼ皆無だったりと、登山者からの評価は決して高いとは言えないお山なのですが、私にとっては、毎年必ず挑戦してしまう存在です。
その理由は山容が圧倒的にカッコイイのと、私が選ぶルートは体力的・精神的にもキツいので、登頂した時の達成感が大きいからです。
2022年1月に登った時の恵那山の写真

『家から比較的近いのに、雪山シーズン中はいつも積雪量が充分にある』というのも地味に大きな理由になっておりますが…
いや、これが一番大きい理由だな、うん…
さて、『私が選ぶルートは』と申し上げた通り、恵那山には登山口が大きく分けて4つあります。

①北側からの神坂峠登山口ルート
②東側からの広河原登山口ルート
③南側からの黒井沢登山口ルート(路面崩落により数年前からずっと通行禁止)
④西側からの前宮登山口ルート(夏道でも日帰りはけっこうしんどいルート)
ただ冬期の場合は、圧倒的に②のルートを選択されている方が多く、このルートでの登山記録以外はお目にかかることはほぼありません。
雪山コースの歩きやすさは『どれだけ多くの人がそのルートを歩いているか』つまり『雪が踏み固められているか(トレースがあるか)』にかかっています。
メジャールートは登頂できる可能性がいつでも高いわけですが、マイナールートは実際に現場に行ってみないとどんな感じかが分からないということです。
『みんなと同じ』が大嫌いな天邪鬼ゆえ、②のルートを選択するわけもなく、④のルートは流石に雪道の日帰りは不可能、ということで、毎年①のルートを選択しているのですが、実際は⑤(強清水発)追分登山口ルートとなってしまいます。
冬期期間は①の神坂峠まで車で行くことはできないので、500m近く低い所にある『強清水(こわしみず):標高1100m』に車をおいて、そこから樹林帯を上って『追分登山口』からのチャレンジとなるのです。

前日に登山アプリのヤマレコやYAMAPにUPされている山行記録を確認したところ、2024年の年末辺りに「この⑤(強清水発)追分登山口ルートで登って、登頂できずに撤退しました」という報告を確認できたのみ…
向かう前からなかなか厳しい戦いになりそうだ…と予想されました。
そして当日、まだまだ真っ暗な午前4時に自宅を出発です。
恵那山の山麓までは順調に進んでいたのですが、強清水までのアプローチ道まで来たところで、今まで経験したこともないような濃霧…(写真撮っておけばよかった…)
暫くほとんど道が見えない濃霧の中を、慎重に進んでいくと、霧は薄くなってきたものの、お次はガチガチに凍った雪のアイスバーン…
「こちとら今シーズンに新調したばかりのブリジストンの国産スタッドレスタイヤを履いとるんじゃ~い」と果敢に挑みましたが、雪は深いわツルンツルンに滑るわで、あと1歩でタイヤチェーンのお世話にならないといけない所まで追い詰められましたものの、どうにかこうにか車で行ける限界である『強清水』まで辿り着きました。
この⑤ルート、行程自体がキツいということだけではなくて、車の運転が苦手な人の場合はここまで来ることがまず不可能なので、不人気に拍車をかけているのだと思います(´_ゝ`)
強清水の駐車場前のガチガチに凍った欄干のない橋…

さて、いそいそと準備を整えまして、早速出発です。
初めのうちは樹林帯の中の登山道をひたすら登っていきますが、少し滑るので『チェーンスパイク』と呼ばれるシロモノを登山靴に履かせております。


追分登山口に向かうまでの間は、恵那山のお隣の『富士見台高原』に向かう人達と共通のルートですので、比較的に雪が踏み固められていて歩きやすかったのですが…
恵那山・富士見台高原の分岐まで来て、恵那山方面へ足を踏み出した第1歩目で膝下まで雪に埋まりました…
その瞬間、「あー、今日は恵那山の登頂はムリだな…」と悟りましたが、すぐに気を取り直して、「とにかく行ける所まで行くことにしよう!」と目標を変更しました。
元々、厳しい山行になることは分かっておりましたので、チェーンスパイク以外に持ってきていた装備、『12本爪アイゼン+スノープラック(おフランス製のかんじき)』を装着です。


これにて足ズボッ状態は緩和しましたので、のっしのっしと追分登山口を目指し程なく到着!
路面は雪で全く見えないとはいえ、樹林帯を出てからここまでは舗装された林道でしたので、ここからがいよいよ本物の登山道です。

入り口付近をパッと見た所、近日中に人が入った形跡はありません。
こりゃ、やっぱり厳しい戦いになりそうだ…
そして1歩目を踏み出すと、「ずぶうぅぅぅ~」とまたもや膝上まで埋もれました…
「ツボ足(登山靴だけの状態)じゃないんですけど~…」と頭の中でツッコミを入れましたが、そんなツッコミを入れたとて、状況は何にも変わりません。
深い所だと80cmくらいストックが埋もれます

まずは膝で目の前の雪をグリグリ⇒グリグリした所を4-5回キックして踏み固める⇒その後に足を乗せてようやく1歩上がる⇒反対側の足も同様にして~、を繰り返して、時間をかけながら着実に1歩1歩進んでいきます。

この⑤ルートは最初の登りが一番キツく、特に最上部は傾斜がさらに急になり、キツい上に雪崩の心配もあります。実際に一昨年このルートで登頂した時は、行きは何ともなかったのに、帰りに雪崩れていたことがあったので、登って行くにつれて雪崩に警戒しなければと思っていたのですが…
既に雪崩れとりました…(;^_^A

そして、雪崩れた雪が硬く締まっていたおかげで、その雪崩れた雪の上をズボズボせずに歩けて、むしろ快適でした(;^_^A
ここから右に直角に曲がり、山腹をトラバース(山の斜面を横断すること)していきます。
相変わらずトレース(人が歩いた痕跡)が全くないので、慎重に一歩一歩、蹴り込んで道を作りながら進んでいきます。
そんなこんなで、当初予定の約3倍の時間を要しましたが、鳥越峠まで何とか辿り着きました。

ここからはいよいよ稜線を歩いて、大判山を経由して恵那山山頂を目指すルートです。
当初予定は恵那山山頂でしたが、ここまでに時間を要し過ぎましたのと、この先も厳しい状況が予想されますので、経由地の予定だった大判山を目標に設定し直しました。
鳥越峠を通過後も相変わらず雪深く、また春特有の重~いベチャ雪で難儀しましたが、さらに言うと恵那山は笹薮が多いことでも有名です。
笹は茎が柔らかいので降雪ですぐに寝てしまうのですが、弾力があるので完全には倒れたりせず、雪の下では曲がった状態になり、下に大きな空間を作っています。
それ故に、雪の下に笹薮があった場合は、落とし穴に落ちたかのように腰上までズボッとハマってしまうことがよく起こります。
案の定、何度も「テッテレ~!大~成~功!」を繰り返しながら、地道に前に進んでいきました。

そんなこんなをしつつ、どうにか大判山への最後の急登まで辿り着きました。

そして何とか大判山まで登頂成功!

もう3月だというのに、まだこの積雪量を誇っていました。
さて、ここ大判山山頂で少し遅めのランチタイムです。
普段はカップラーメンなんて全く食べないのですが、山に来ると何だか食べたくなってしまうのですよね。
絵的にはドノーマルの醤油味のカップラーメンが正解だとは分かっているのですが、天邪鬼ですので、山中でお腹が痛くなる可能性を気にもせずに、とんがらし麺をチョイスです。

霧に覆われてその山頂を拝ませてくれない恵那山を心の目で想像しつつ、とんがらし麺を完食。
ホットコーヒーを嗜んだ後に、下山を開始します。
下山はラクラク、登山時に苦労して作った自分の足跡をトレースして、順調に追分登山口まで下りて参りました。

さて、ここからが本日のもう1つのメインイベント。
『雪の積もった林道をミニスキーで滑って、スタート地点まで快適に戻ろう』です。


スキー場のリフト・ロープウェイを利用して、上まで登った所から登山を開始できる山は結構あります。
長野県八ヶ岳のピラタス蓼科スノーリゾートのロープウェイ山頂駅から登山開始の『北横岳』、群馬県の川場スキー場のリフトを乗り継いで登山開始の『上州武尊山』、近場で言うとヘブンス園原スノーワールドからの『千両山・富士見台高原』、鷲ヶ岳スキー場からの『鷲ヶ岳』、尾根筋経由での登頂後に少し降りてくると、リフト券を買ってもいないのに高鷲スノーパークを滑って降りて来られちゃう『大日ヶ岳』…(下山後に意識してお金を落とすようにはしておりますm(__)m)
通常は下山時もリフト・ロープウェイを利用することになるのですが、「せっかく登ったのだから、ついでにスキーも楽しんじゃおう!」ということで、イケそうな山の場合はミニスキーも担いで雪山登山に行くようになりました。
そんな山々で味を占めて、ついに圧雪していない自然雪ですらもミニスキーで滑走して降りてみようと考え始め、その後いくつかの山でもまぁまぁな結果を残せたので今回も計画してみたのですが、深い雪に対しては圧倒的に浮力が足りないミニスキー、埋もれていくばかりでちっとも前に進みません…
勾配が急になったり、日陰で雪が凍って固くなっている所は滑ることもできましたが、概ねストックで漕ぐ努力が必要で、車をとめてある強清水に戻って来た時には滝のような汗をかいておりました(;’∀’)
普通に下山した方がずっとずっと楽ではありましたが、何事も経験です。
最後の最後で大汗をかいたので、恵那山登山後はいつもお世話になっている『クアリゾート湯舟沢』さんで汗を流します。
そして、利用させていただく時にいつも思うのですが、恵那山付近には「シューズロッカーキー専門の窃盗団でもいるのでしょうか?(‘ω’)」

日本中、どこもかしこも物騒な世の中になってしまいましたね…(=_=)
さてお次は、私が今回久しぶりに物騒なネタ(=日本の現状)をブッこんでこなかったので、ちょっと安心した表情を見せていた気がする、あの人です。