(猫)去勢手術(両精巣摘出術)

手術を行うまでの流れにつきましては、『外科手術の流れのページ Step1~7』
と同様ですので、そちらをご参照ください。

Step1

ネコちゃんの去勢手術(両精巣摘出術)は陰嚢の正中を切皮しますので、
消毒を済ませた陰嚢のみが露出するように滅菌ドレープをかけます。

Step2

陰嚢をしっかりと把持し、陰嚢正中の皮膚をメスで小さく切開します。

Step3

精巣は左右それぞれが総鞘膜と呼ばれる硬い被膜に覆われているため、
陰嚢正中の切開部から、まず片側の総鞘膜を切開し精巣を露出させます。

Step4

精巣が露出しました。精巣左側に精巣につながる血管と精管、
右側に精巣挙筋(精巣を支える筋肉)が見えています。

血管・精管と精巣挙筋の間にある膜を破り、それぞれを分離します。

Step5

1本の鉗子を精巣挙筋に、もう1本の鉗子を精巣上体(精巣に付着している精管の始まりの部分)にかけて、
牽引し精巣上体と精巣挙筋を分離します。

Step6

精巣と精巣につながる血管・精管だけの状態になりました。
血管と精管の間の薄い膜を破り、牽引して精管を精巣に付着している部位から剥離します。

Step7

精巣とつながっている血管と精管を用いて、ゆるまないように5回しっかりと結紮します。

(※結紮糸を用いていないことを不安に思われるかもしれませんが、この方法は
外科手術の成書(教科書)にも記載されている方法ですのでご安心ください)

Step8

血管と精管の結び目の上側に鉗子を2本かけ、その間を切離します。

Step9

切離面からの出血がないかをガーゼでおさえながら確認します。

出血がないことを確認できたら、切開した総鞘膜内に断端を戻します。

Step10

総鞘膜内に断端が戻りました。さらに総鞘膜を陰嚢内に戻します。

以上で、片側の精巣の摘出が完了です。

Step11

同様の手順で、残っているもう片側の精巣も摘出し、両側の精巣を摘出した後の陰嚢です。
陰嚢正中を鋭いメスできれいに切開しているため、ガーゼで優しく左右から押さえておくと切開面が合わさります。
通常は表皮の縫合はしなくても良好に癒合してくれますが、手術後に過度に舐める・擦るなどが
予想されるような場合は、1~2糸程度縫合することもあります。絆創膏は特に必要ありません。

手術終了後の流れは、『外科手術の流れのページ Step22~25』と同様です。

以上で、ネコちゃんの去勢手術(両精巣摘出術)は終了です。